競争戦略のファイブフォースとは?競争環境を理解するためのフレームワーク

ビジネスフレームワーク
せせらぎ房
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ファイブフォースの言い方で、「いただきまーす」と言うと、なんかかっこいい感じがしませんか?・・・・・・ところで、
今回は、競争戦略で何回となく引用されるファイブフォースです。自分を取り巻く五つの力、何らかの影響力を与える要素を表すフレームワークです。

この記事のポイント

  • ファイブフォース分析とは周辺環境のプレイヤーを表すもの
  • 新規参入の脅威、代替品の脅威、供給者の交渉力、買い手の交渉力、業界内の競争の具体例
  • ファイブフォース分析の活用方法と活用の注意点

ファイブフォース分析とは?

競争戦略の父と呼ばれるマイケル・ポーター教授が提唱したファイブフォース分析は、業界の収益性や競争環境を理解するためのフレームワークです。この分析は、5つの主要な力(フォース)を通じて業界を取り巻く競争のダイナミクスを評価します。これにより、企業が戦略的に優位性を築くための洞察を得ることができます。

ファイブフォースの5つの要素

新規参入の脅威

新規参入者が市場に参入する可能性が高ければ、既存企業の利益が圧迫されるリスクが高まります。

  • 参入障壁: 特許やブランド力、規模の経済、規制が主な障壁です。例えば、自動車業界は多額の初期投資が必要であるため、新規参入の脅威は低いと言えます。
  • 対策例: 既存企業は技術革新やブランド強化により参入障壁を高める戦略をとることがあります。

代替品の脅威

顧客が現在の製品やサービスに代わる選択肢を持っている場合、業界の利益は圧迫されます。

  • 具体例: 映画館に対してストリーミングサービス(Netflixなど)が代替品として脅威となっています。
  • 対策例: 差別化を図り、代替品では満たせない独自の価値を提供することが重要です。

売り手の交渉力

業界の売り手(供給者)が強い交渉力を持つ場合、コストが上昇し、収益性が低下する可能性があります。

  • 強い交渉力の例: 半導体業界では、特定の素材を供給するメーカーが限られているため、供給者の力が非常に強いです。
  • 対策例: サプライチェーンの多様化や、自社での素材調達能力の強化を検討する企業もあります。

買い手の交渉力

顧客が強い交渉力を持つと、価格競争が激化し、利益が圧縮される可能性があります。

  • : B2B市場において、少数の大企業が買い手である場合、その交渉力は非常に強力です。
  • 対策例: 顧客との関係構築や、製品やサービスの独自性を高めることで交渉力を抑えることができます。

既存の競合他社

既存の競合他社間で激しい競争が起きている場合、価格競争やマーケティングコストの増加につながります。

  • 具体例: スマートフォン業界では、Apple、Samsung、Xiaomiなどが市場シェアを争っています。
  • 対策例: 差別化戦略やコストリーダーシップ戦略で競争の中でも利益を確保することが重要です。
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ファイブフォースの既存の競合、新規参入、代替え品は競争相手として認識しやすいですが、横軸の売り手、買い手は競合というものではありません。でも、売り手や買い手に対する時、自分たちの影響力が低ければ、ビジネスは有利には進まなくなります。
ファイブフォースは主に自社のビジネスにマイナスの要素を与えかねないフォース(パワー)を持つプレイヤーを表しています。

ファイブフォース分析の活用方法

戦略立案の支援

ファイブフォース分析は、業界内での自社の立ち位置を理解し、競争優位性を確立するための戦略を設計する際に役立ちます。例えば、参入障壁を高めるために特許を取得する、代替品への対抗策として新しい製品ラインを開発するなどの具体的なアクションを導き出します。

市場機会の特定

業界内での競争の強さや、供給者・買い手の力を見極めることで、ビジネスチャンスを見つける手助けとなります。特に、未開拓のニッチ市場や新たなサプライチェーンを発見する可能性もあります。

ファイブフォースの事例

航空業界の事例

LCC(Low-Cost Carrier、格安航空会社)による航空業界の事例を見てみましょう

LCC(Low-Cost Carrier、格安航空会社)の台頭は、航空業界における競争環境を大きく変えました。従来のフルサービスキャリア(FSC)が市場を独占していた中、LCCは低価格を武器に新規参入し、業界全体の競争を激化させました。

新規参入の脅威
LCCは、単一機材の運用、効率的なターンアラウンド、二次空港の活用といった戦略により、運営コストを大幅に削減し、価格競争力を強めました。

代替品の脅威
国内に限っては、北陸新幹線、北海道新幹線など長距離移動の新幹線網の充実により、選択肢が広がりました。

売り手の交渉力
航空機リース業者や燃料供給者の影響力が増しました。ボーイングやエアバスといった航空機メーカーに対する発注量が増えることで、交渉力を持つようになりました。燃料価格の変動や空港使用料の値上がりは利益を圧迫する要因にもなっています。

買い手の交渉力
LCCの普及により、顧客は低価格のフライトを求めるようになり、航空会社間の価格競争が激化しました。また、顧客は比較サイトを活用し、最も安い航空券を選択できるようになったため、LCCは価格競争だけでなく、サービスの付加価値を高める戦略が求められています。

業界内の競争
航空業界の競争は激化しており、各社が運賃の引き下げや追加サービスの提供によって顧客の獲得を図っています。

ラーメン店の事例

それでは、身近な事例としてラーメン店の事例を考えてみましょう

ラーメン業界も競争が激しく、特に地域ごとの特色やブランド戦略が重要になっています。

新規参入の脅威
ラーメン業界では新規参入が比較的容易です。個人による新しい店舗の進出が増えています。

代替品の脅威
ラーメンの代替品として、その他の外食産業が挙げられます。近年は、新しい食材、新しいコンセプトの店舗がSNSの拡散力を用いて台頭しています。

売り手の交渉力
製麺所やスープの原材料供給業者が影響を持ちます。特に高品質な食材を安定的に仕入れることが重要で、仕入れ先との交渉力が収益性に影響を与えます。

買い手の交渉力
消費者は価格や味、サービスを比較しやすく、SNSや口コミの影響が大きい業界です。価格競争だけでなく、独自の魅力を発信することが成功の鍵となります。

業界内の競争
有名チェーン店と個人経営の店舗がしのぎを削る業界であり、新しいメニュー開発や差別化が求められます。

ファイブフォースの限界

ダイナミクスの変化への対応

市場環境が急速に変化する現代では、静的な分析だけでは不十分です。特に、技術革新や規制の変更など、分析外の要因が業界に大きな影響を与える場合があります。

短期的な視点になりがち

ファイブフォース分析は業界内の現在の状況に焦点を当てているため、長期的なトレンドや新しい市場の可能性を十分に考慮できない場合があります。

まとめ

ファイブフォース分析は、業界の競争環境を把握し、効果的な戦略を立案するための強力なツールです。しかし、その限界を理解しつつ、他の分析手法や定性的な視点と組み合わせることで、より包括的な洞察を得ることが可能です。企業が競争優位を築き、持続的な成功を収めるためには、この分析を柔軟かつ戦略的に活用することが求められます。

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