
こんにちは、せせらぎ房です。「上司が無能に見える」には、組織的な理由があるらしいですが、確かに・・・と思いつつ、自分も自分のことを無能とは思いたくない上司だったりしますが・・・・・・・ところで、
今回は組織の7Sです。組織の現状・将来像や課題を紐解くのに便利なフレームワークで、お気に入りのものです。
この記事のポイント
- 組織の基礎を理解するための「7Sフレームワーク」の概要を説明
- 各要素(ハードとソフト)の詳細と相互関係について解説
- 7Sを活用した組織運営や変革への実践的アプローチを提案
- 組織の7Sを個人のキャリアフレームに適応した例を解説
組織を成功に導く鍵「7S」
現代のビジネス環境は、複雑さと変化が増しており、組織が効果的に機能するためには、単なる戦略やリソースの配置だけでは不十分です。そのような中で、組織全体のバランスを考慮した「7Sフレームワーク」は、企業の持続可能な成長や変革を考える際に有用なツールです。本記事では、このフレームワークの基礎を掘り下げ、実際の活用方法について具体的に考察します。
7Sフレームワークとは?
7Sフレームワークは、1970年代にマッキンゼー社のコンサルタントであったトム・ピーターズとロバート・ウォーターマンによって提唱されました。このモデルは、組織を7つの要素に分け、それらがどのように連携して成功に寄与するかを分析するためのツールです。7つの要素は以下の通りです。
- Strategy(戦略)
- Structure(組織構造)
- Systems(システム)
- Shared Values(共有価値観)
- Style(スタイル/文化)
- Staff(人材)
- Skills(スキル)

この7つは、「ハード要素(戦略、組織構造、システム)」と「ソフト要素(共有価値観、スタイル、人材、スキル)」に分類され、特にソフト要素が組織の文化や価値観を形作る重要な要素とされています。

このフレームワークの優れているのは、共有価値観を中心におきながら、ハードとソフトの構成が対になっている点です。組織の構成はスタッフに非常に関連し、戦略とスキル、システムとスタイルも関係します。
組織戦略を考える際に、ある要素が何に影響され、影響を与えるのかをこのフレームワークで考えることができます。
ハード要素:目に見える基盤

戦略(Strategy)
戦略は、組織の目標達成のための計画や方向性を指します。市場での競争優位を築くためのアプローチであり、リーダーシップの意思決定に直接影響を与えます。
組織構造(Structure)
組織構造は、業務や責任の配分、報告ラインを明確にするものです。中央集権型や分権型など、組織の規模や性質によって適切な構造が異なります。
システム(Systems)
システムは、組織のプロセスや手続き、日々の運営を支える枠組みです。例としては、パフォーマンス評価、報酬制度、情報共有のプロセスが挙げられます。適切なシステムが機能していない場合、戦略や構造がうまく機能しないことがあります。
ソフト要素:組織の文化と活力

共有価値観(Shared Values)
共有価値観は、組織の中心的な信念や文化を形成します。これが7Sフレームワークの核であり、他の6つの要素をつなぎ合わせる役割を果たします。明確で強固な価値観は、従業員の行動や意思決定を導く重要な指針となります。
スタイル(Style)
スタイルは、リーダーシップのアプローチや組織文化を表します。トップダウン型かボトムアップ型か、あるいは協働的かなど、リーダーの行動と組織全体の雰囲気がここに含まれます。
人材(Staff)
人材は、組織の成功に欠かせないリソースです。適切な人材配置や採用、育成は、戦略の実現と組織目標の達成に直結します。
スキル(Skills)
スキルは、組織全体および個々の従業員が持つ能力や専門知識を指します。市場環境や技術革新に応じてスキルの向上が求められるため、継続的な学びと適応が重要です。
7Sの相互関係:組織のバランスを保つ
7Sの大きな特徴は、各要素が互いに密接に関連し合っている点です。一つの要素が変化すると、他の要素にも影響を及ぼします。例えば、新しい戦略を導入する場合、その戦略を支える組織構造やシステムが変更される必要があります。また、それが従業員のスキルやスタイルにどのように影響するかも考慮しなければなりません。これらをバランスよく調整することで、組織の効果的な運営が可能となります。
実践的な7Sの活用方法

7Sフレームワークは、さまざまな組織での課題解決や変革プロジェクトで効果的に活用されています。以下では具体的な事例を交えて説明します。
現状分析と課題発見
おおくろおお
変革プロセスの設計
組織変革では、ハード要素とソフト要素の両方に注意を払う必要があります。
事例: 小売業のB社では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、既存のシステムと従業員のスキルが課題になりました。新しいeコマースプラットフォームを導入する際、ITスキルを向上させるためのトレーニングプログラムを実施し、文化的な変化を促すために「挑戦を恐れない」という価値観を共有しました。これにより、従業員のモチベーションと新しいシステムの定着率が向上しました。
事業再構築への対応
事業モデルを再構築する際、7Sはその計画を調整するツールとして機能します。
事例: サービス業のC社では、コロナ禍による顧客ニーズの変化を受けて、オンラインサービスに注力する戦略を採用しました。この際、組織構造を見直し、オンライン専用のチームを新設。さらに、顧客対応に必要なソフトスキルを向上させる研修を実施し、共有価値観を「顧客の成功を支援する」へと再設定しました。これにより、新しい事業モデルへのスムーズな移行を達成しました。
継続的な改善
7Sフレームワークを定期的に使用することで、組織の進化を追跡し、新たな改善点を発見できます。
事例: グローバル企業D社は、年次計画に7Sの評価を取り入れています。戦略や構造だけでなく、組織文化やスキルセットの変化を定期的に見直し、環境変化に迅速に対応するための柔軟性を維持しています。これにより、グローバル市場での競争力を維持しています。
個人のキャリアフレームワークに7Sを適用する


ここで、ちょっと変わった試みをしてみます。個人のキャリアアップに7Sを適応してみました。組織は個人の集合体であると考えると、個人の中にも組織の切り口と同じような部分があります。それぞれの要素がどのように関連するかを見てください。
企業の組織分析に使われる「7Sフレームワーク」は、個人のキャリアアップにも応用できます。7Sとは、Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、Systems(業務プロセス)、Shared Values(共有価値観)、Skills(スキル)、Style(スタイル)、Staff(人材)の7つの要素を指します。これを自己分析やキャリア形成に活用することで、より戦略的に自分の成長を計画できます。

1.キャリア戦略(Strategy)を明確にする
どのようなキャリアを目指すのかを明確にすることが重要です。
- 専門性を高めるのか、それとも独立・起業するのか?
- 競争優位性をどのように築くのか?(希少性のあるスキル、経験、人脈 など)
- 5年後、10年後の目標をどのように設定するのか?
2.環境・ネットワーク(Structure)を整える
自分のキャリアを支える環境やネットワークを考えます。
- どの業界・組織に所属し、どんな役割を担うべきか?
- 必要なリソース(資格、ポジション、人間関係)は整っているか?
- 有益なネットワークをどう築くか?
例えば、起業を考えている場合、スタートアップコミュニティに参加し、投資家や同じ志を持つ起業家との関係を築くことが有効です。
3.仕事の進め方・習慣(Systems)を最適化する
効果的な仕事の進め方を確立し、習慣化することがキャリアアップのカギとなります。
- タスク管理や時間管理をどのように最適化するか?
- 継続的な学習やスキル習得をどう仕組み化するか?
- 目標達成のためのフィードバック・改善の仕組みを持っているか?
週に1回、自分の成果を振り返る「自己レビュー」を行うことで、成長を可視化できます。
4.キャリアの軸・価値観(Shared Values)を持つ
キャリアの方向性が自分の価値観と一致しているかを確認します。
- 自分が大切にしたい価値観や仕事観は何か?
- ワークライフバランス、成長機会など、譲れないものは何か?
- キャリアの選択が価値観と合致しているか?
例えば、「社会貢献を重視したい」という価値観があるなら、NPOとしての起業も視野に入ります。
5.必要なスキル(Skills)を把握し、強化する
キャリアアップには、スキルの強化が欠かせません。
- 今のキャリアに必要なスキルを十分に持っているか?
- 将来的に必要なスキルをどう習得していくか?
- 自分の強みと弱みを正しく把握しているか
ITに関わるスタートアップを目指すのであれば、データ分析スキルやデジタルマーケティングの知識も必要になるでしょう。
6.働き方・スタイル(Style)を確立する
- 自分の仕事のスタイルはどうか?(慎重派、挑戦派 など)
- リーダーシップやコミュニケーションのスタイルは適切か?
- 自分のスタイルが目指すキャリアに合っているか?
スタートアップにおける仲間との円滑なコミュニケーションが必要になり、組織に合わせたリーダーシップのスタイルを確立する必要があるでしょう。
7.人材・チーム(Staff)との関係を築く
自分の成長を助けてくれるメンターや仲間の存在も重要です。
- メンターやロールモデルを見つける
- 協力してくれる仲間や刺激を受ける人とつながる
- 必要な人材をどう確保し、どのように関わるべきか?
たとえば、業界トップの人や、異分野の専門家都交流することも効果があるでしょう。
以上、7Sフレームワークを個人のキャリアフレームに適応してみました。Shared Valueを支える要素がどのように関連していくのか、ご理解いただけたでしょうか。
まとめ
7Sフレームワークは、組織の成功に必要な要素を網羅的に捉えるための強力なツールです。その本質は、戦略や構造だけでなく、組織の文化や人材といったソフト要素を重視する点にあります。このフレームワークを活用することで、現状の課題を把握し、バランスの取れた組織運営を実現できるでしょう。
継続的な改善を通じて、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に対応できる組織を築くことが、このフレームワークの最終目標です。