
こんにちは、せせらぎ房です。押してダメなら引いてみな、などと言われますが、引いてみてうまくいった人ってどのくらいいるのでしょうか・・・・ところで
今回はTRIZの発明原理、「先取り反作用」です。発明原理を使った、アイデアの発想について考えてみましょう。
この記事のポイント
- 「先取り反作用」原理とは、有害な効果を予測、事前に反作用を施し、リスクを軽減する手法。
- 「先取り反作用」活用例として、セキュリティ対策、ディザスタリカバリ、ソフトウェアテスト。
- この原理を応用することで、ITサービスの信頼性や安全性を向上させることが可能。
TRIZの発明原理「先取り作用」

TRIZとは?
TRIZ(発明的問題解決理論)は、ソビエト連邦の科学者ゲンリフ・アルトシュラーによって提唱された、創造的な問題解決のための方法論です。TRIZは、多くの特許や発明の分析から導き出された原則を基に、技術的な課題を解決するためのフレームワークを提供します。その中の一つである「事前保護」の原理は、システムの信頼性を高めるために予防的な対策を講じることを目的としています。
先取り反作用とは?
TRIZ(発明的問題解決理論)の「先取り反作用」原理は、特定の作用が有害な影響を伴う場合、それを事前に予測し、反作用を施すことで被害を最小限に抑える考え方です。
この原理をITサービスに適用することで、さまざまな課題を解決し、より安全で効率的なシステムを構築することが可能になります。
発明原理「先取り作用」をITサービスに適応する

ここで「先取り反作用」の考え方を適応したITサービスのアイデアにどのようなものがあるか見てみましょう。
予測型メンテナンス
セキュリティ対策における「先取り反作用」
ITサービスの最大のリスクの一つはセキュリティ侵害です。そこで「先取り反作用」原理を適用することで、サイバー攻撃を未然に防ぐ対策が可能となります。
具体例:侵入検知システム(IDS)と侵入防止システム(IPS)
- IDS(Intrusion Detection System):ネットワークやシステム上の異常な挙動を監視し、攻撃の兆候を検出。
- IPS(Intrusion Prevention System):IDSが検出した異常に対して自動的に対応し、攻撃を阻止。
これらのシステムは、攻撃が実際に発生する前に反作用を適用し、被害を最小限に抑える役割を果たします。
ディザスタリカバリ(災害復旧)と「先取り反作用」
ITサービスは、自然災害やハードウェア障害、人的ミスによるデータ損失のリスクを抱えています。
そのため、これらのリスクに備えるための「先取り反作用」アプローチが重要になります。
具体例:バックアップと復旧計画(BCP/DRP)
- バックアップシステムの導入:定期的なデータバックアップを行い、災害時の復元を容易にする。
- 冗長化構成の採用:クラウド環境やデータセンターを複数拠点に分散し、一箇所の障害による影響を軽減。
- ディザスタリカバリプラン(DRP)の策定:緊急時に迅速な復旧ができるよう、詳細な手順を事前に定めておく。
これにより、万が一の事態が発生しても、事前に準備された対策によって被害を最小限に抑えることが可能となります。
ソフトウェアテストにおける「先取り反作用」
ソフトウェア開発では、バグやシステム障害を未然に防ぐことが重要です。
「先取り反作用」の考え方を取り入れることで、問題の発生を予測し、事前に対策を講じることができます。
具体例:各種ソフトウェアテスト
- ユニットテスト:個々のモジュールや関数を独立してテストし、初期段階でのバグを発見。
- インテグレーションテスト:複数のモジュールを統合し、相互作用による問題を検出。
- システムテスト:実際の運用環境を想定し、全体の動作確認を行う。
- フェイルセーフ設計:システムが異常な状態になった際にも、安全に動作を継続できる仕組みを実装。
このように、テストやフェイルセーフ設計を通じて、事前に不具合を特定し、サービスの品質を向上させることができます。
まとめ

TRIZの「先取り反作用」原理をITサービスに応用することで、セキュリティリスクの低減、ディザスタリカバリの強化、ソフトウェアの品質向上が可能となります。これにより、より信頼性の高いサービスの提供が実現できます。