自己理解を深める。パーソナルビジネスモデルキャンバス

ビジネスフレームワーク
せせらぎ房
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こんにちは、せせらぎ房です。ビジネスモデルキャンバスは企業のビジネスを俯瞰する資料ですが、個人の資質から行動までの全体像を俯瞰することにも利用できます。今回は、ビジネスモデルキャンバスを利用したパーソナルビジネスモデルキャンバスについてです。

この記事のポイント

  • パーソナルモデルキャンバスとは 自分の価値観、強み、目標を整理するためのツールであり、自己成長やキャリア形成に役立ちます。自己理解を深めることで、行動の方向性を明確にします。
  • 8つの要素を使った分析 自分のスキルや価値観を「価値提案」「顧客」「チャネル」など8つの視点で整理することで、具体的な行動計画を作成できます。
  • 幅広い活用例 学生の就職活動や社会人のキャリアチェンジなど、幅広い状況で効果を発揮する手法を具体例とともに紹介します。

パーソナルモデルキャンバスとは?

自己理解を深めるためのツール

パーソナルモデルキャンバスは、ビジネスで使われる「ビジネスモデルキャンバス」を個人向けに応用しました。個人の環境や資質から、どのような価値を提供できるのかを俯瞰的に見直すツールです。

  • 自分の強みや価値観を整理することで、自身の持つ特徴を明確にする。
  • 目標に基づいた行動計画を立案し、将来への具体的なステップを描く。
  • 他者に自身を分かりやすく伝えるための自己表現力を高める。

ビジネスモデルからの発展

  • パーソナルモデルキャンバスは、もともと企業が事業計画を立てるために使用する「ビジネスモデルキャンバス」から着想を得ています。
  • ビジネスモデルキャンバスは9つの要素で構成され、企業の価値提供や顧客との関係性を設計するためのツールです。
  • パーソナルモデルキャンバスは、これを個人用にカスタマイズし、8つの要素に絞り込むことで自己分析や目標設定をサポートします。

8つの要素とその意義

  1. 価値提案(Value Proposition)自分は何が得意で、どのような価値を他人に提供できるのか?」目標を考えます。 例:創造力がある、新しいアイデアを生み出せる、細やかな気配りが得意など。 自分の特徴を理解することで、自己肯定感を高める基盤となります。
  2. 顧客(Customer) 「自分の価値はどのような人に役立つのか?」を考える要素です。 例:職場の同僚や上司、家族、友人、取引先などが該当します。 自分が影響を与えたい相手を明確にすることで、目指す方向が定まります。
  3. チャネル(Channel) 「自分の価値をどのように伝えるのか?」を考える要素です。 例:直接の会話、メール、SNS、ブログなどが該当します。 適切な方法を選ぶことで、自分のメッセージが相手に伝わりやすくなります。
  4. 関係性(Relationship) 「どのように相手との信頼関係を築くのか?」を考える要素です。 例:定期的な連絡を取る、誠実である、相手の話をよく聞くなど。 信頼性や誠実さを重視することで、長期的な関係を築けます。
  5. 活動(Activities) 「目標達成のために何を実際に行うか?」を考える要素です。 例:スキルを磨くための学習、ネットワーキング、新しい挑戦への準備など。 日々の行動を整理することで、現実的な一歩を踏み出せます。
  6. リソース(Resources) 「目標達成に必要な資源は何か?」を考える要素です。 例:専門知識、経験、人脈、資金、時間など。 自分の手持ちのリソースを把握し、不足しているものを補う計画を立てます。
  7. コスト(Cost) 「目標を達成するために何が必要で、それにどのようなコストがかかるのか?」を考える要素です。 例:時間の投資、金銭的な出費、精神的な努力など。 コストを把握することで、計画が現実的で実行可能なものになります。
  8. 収益(Revenue) 「目標達成によって得られる成果や報酬は何か?」を考える要素です。 例:金銭的な報酬だけでなく、達成感、自己成長、他者からの感謝なども含まれます。 この要素を通じて、努力がもたらす結果をイメージしやすくなります。
  9. 主要パートナー(Key Partners) 「目標達成のために協力してくれる重要な人物や組織は?」を考える要素です。 例:メンター、キャリアアドバイザー、協力的な同僚、家族、友人、所属するコミュニティなど。 彼らとの関係性を認識し、積極的に連携することで、目標達成の可能性が高まります。

活用例 1: 大学生の場合(就職活動)

価値提案(Value Proposition)

「問題解決力」と「粘り強さ」を強みとしてアピール。
例)大学時代に所属していたゼミで、研究プロジェクトが停滞した際、積極的に情報を収集して進行役を務め、無事に研究成果を発表することができた。この経験を通じて「困難な状況でも諦めずに解決策を見つける力」が身についた。

顧客(Customer)

就職先として志望する企業、人事担当者、将来の上司や同僚。
例)志望する企業は、IT業界の成長中の中小企業。業務改善ツールの導入をサポートすることで、社内の効率化を図りたいと考える企業がターゲット。

チャネル(Channel)

エントリーシート、面接、インターンシップ参加などの手段を通じて、自分の強みを伝える。
例)エントリーシートでは具体的なエピソードを記載し、面接ではゼミでの実績やプロジェクト管理経験を具体的に話す。また、インターンシップに参加し、実務におけるスキルをアピールする。

関係性(Relationship)

人事担当者や採用チームと信頼関係を構築し、良い印象を持ってもらう。
例)インターンシップ中に積極的にフィードバックを求める姿勢を見せたり、選考中に丁寧なお礼メールを送ることで、誠実で熱意のある印象を与える。

活動(Activities)

就職活動に向けた具体的な行動を計画する。

  • 企業研究を行い、自分の価値観に合う企業をリストアップする。
  • 応募書類のブラッシュアップを行う。
  • 模擬面接を複数回受け、回答内容を改善する。
  • 業界に関連するセミナーやイベントに参加して、業界の動向を学ぶ。

リソース(Resources)

就職活動を成功させるために必要なリソースを特定する。

  • キャリアセンターのサポート(履歴書添削や模擬面接)
  • ゼミの指導教員のアドバイス
  • 就職活動仲間との情報共有
  • 業界研究用の書籍やウェブサイト

コスト(Cost)

就職活動にかかる時間、エネルギー、金銭的コストを洗い出す。

  • エントリーシート作成や面接準備に必要な時間
  • 模擬面接やセミナー参加の費用
  • 交通費や宿泊費(地方での面接やインターンシップの場合)

収益(Revenue)

最終的に得られる成果を明確にする。
志望企業から内定をもらうことが目標。その結果として、自分のスキルや価値観に合った職場で働くことができる。また、就職活動を通じて得た経験が今後のキャリア形成にも役立つ。

主要パートナー(Key Partners)

就職活動を支援してくれる重要な人脈や組織。
キャリアセンターのカウンセラーからの専門的なアドバイス、ゼミの教授からの推薦状や情報提供、就就職活動を経験した先輩からのアドバイスやメンタリング、精神的な支えとなる家族や友人。

活用例 2: 社会人の場合(キャリアチェンジ)

価値提案(Value Proposition)

「チームをまとめるリーダーシップ」と「業務効率化のスキル」を強みとしてアピール。
例)前職でのプロジェクト管理経験から、チームの目標達成率を20%向上させた実績がある。また、新しい業務管理ツールを導入することで、タスクの進捗が把握しやすくなり、納期遵守率が改善した。

顧客(Customer)

新たに転職を目指す企業や、その中での上司・同僚・クライアント。
例)新しい業界として、コンサルティング業界に挑戦したい。顧客となるのはクライアント企業の経営者やプロジェクトチームのメンバー。

チャネル(Channel)

転職エージェント、LinkedIn、企業の採用ページを通じて自己アピールする。
例)転職エージェントを活用して履歴書や職務経歴書を作成。LinkedInでは、自分のスキルセットを可視化する投稿やプロジェクト実績を公開して、ネットワーキングを強化

関係性(Relationship)

転職活動の過程で、新しい雇用主や業界内の人脈と関係を築く。
例)セミナーや勉強会で知り合った人と連絡を取り合い、情報交換を行う。また、採用担当者には転職後のビジョンを具体的に話し、信頼を得る。

活動(Activities)

転職に向けた具体的な行動計画を立てる。

  • コンサルティング業界の知識を深めるため、業界誌を定期購読する。
  • オンライン講座を受講して、新たなスキル(データ分析やマーケティング)を習得する。
  • 業界イベントに参加して人脈を広げる。
  • 転職活動用の履歴書・職務経歴書を完成させ、複数の企業に応募する。

リソース(Resources)

転職を成功させるために必要なリソースを洗い出す。

  • 転職エージェントからのサポート
  • 現職での経験や実績の記録

コスト(Cost)

転職活動に必要なコストや負担を把握する。 例)

  • 現職との両立のための時間的負担
  • スキルアップにかかる費用(オンラインコース受講料など)

収益(Revenue)

転職を成功させた場合に得られる成果や報酬。
コンサルティング業界への転職に成功し、現在の年収を10%アップ。また、成長意欲のある環境で働くことで、自分のキャリアが次のステージに進む。

主要パートナー(Key Partners)

キャリアチェンジを支援してくれる重要な 人脈や組織。
転職エージェントからの求人情報の提供やキャリア相談、キャリアチェンジを経験した友人やメンターからのアドバイス、スキルアップのためのセミナー講師やオンラインコミュニティ、家族からの精神的なサポート。

まとめ

パーソナルモデルキャンバスを活用することで、自分の価値観や強みを明確化し、行動計画を具体的に設計できるだけでなく、目標達成を助けてくれる主要なパートナーの存在を認識し、連携を強化することができます。大学生の就職活動や社会人のキャリアチェンジといった異なる状況でも、各要素を埋めることで目標達成の道筋を見出し、周囲のサポートを活用できます。

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