TRIZ技術進化のトレンド:適応型材料

TRIZ 発明原理
せせらぎ房
せせらぎ房

こんにちは、せせらぎ房です。新しい服を買うといえばユニクロに行くようになって長いことたちます。たまには個性的な服装をと思うのですが、特に何もしていません・・・・・ところで、

今回は、新しいアイデアを考えるヒントとなるTRIZの技術進化のトレンドです。過去の技術進化を定型化して、技術発展の方向性を予測する材料にするものです。後半では、この考え方をサービスの発展にも応用してみました。

この記事のポイント

  • 適応型材料の進化は、物理的矛盾を解決しながら柔軟性を高める方向で進んでいる。
  • TRIZの技術進化のトレンドに従い、適応型材料は受動的なものから多機能で高度なシステムへと発展している。
  • 未来のシステム設計では、適応型材料が持つ自己組織化や簡易な制御の特性が重要になる。

適応型材料とは

適応型材料とは、環境の変化に応じて物理的性質を変化させる材料のことを指します。例えば、自転車サドルや靴の中敷きに使用されるゲル素材、自己分解性高分子、形状記憶合金を使用した登米金具、透明から不透明に連続的に変化するガラスなどが挙げられます。これらの材料は、使う人や状況に適応しながら最適な特性を発揮するため、より高度なシステム設計に不可欠な要素となっています。

適応型材料の進化とTRIZの技術進化のトレンド

受動的材料から一通りの適応型材料へ

最初の段階では、適応型材料は二つの異なる状態(例えば「大きい・小さい」「粘性・非粘性」など)を持つようになります。これにより、物理的矛盾を解決し、以下のような利点が得られます。

  • 2方向スイッチとして機能し、特定の条件下で性質を変化させる。
  • 制御システムの複雑さを削減し、エネルギー消費を抑える。
  • 自己組織化の概念を取り入れ、セルフサービス型のシステムへの応用を可能にする。
  • 測定を単純化し、センサー技術と組み合わせやすくする。

例としては、温度変化で硬さが変わるゲル状クッションや、湿度で透過性が変わるフィルムなどが挙げられます。

一通りの適応型材料から二通りの適応型材料へ

次のステップでは、適応型材料がさらに進化し、単純な二状態ではなく「三方向以上」の切り替えが可能になります。これにより、操作の自由度が増し、より多様な用途に対応できるようになります。

  • 例1: 電圧をかけることで透明度を段階的に調整できるエレクトロクロミックガラス。
  • 例2: 形状記憶合金を用いた医療用ステントが、血流の状態に応じて最適な形に変形する。

二通りの適応型材料から全面的適応型材料へ

さらに進化すると、多数のユーザー要件に適応可能な「全面的適応型材料」へと発展します。これは、

  • マスカスタマイゼーション(個別対応可能な製品設計)
  • 連続的な特性変化を可能にする(アナログ的な変化)
  • 測定指標としての活用(高精度なフィードバック制御)

といった特徴を持ちます。例えば、建築分野では、光や熱の条件に応じて自動的に透過率を調整するスマートウィンドウが実用化されています。

賢い適応型材料とその応用

適応型材料の進化には、以下のようなスマートマテリアル技術が関わっています。

  • レオペクシック材料(応力を与えると硬化する)
    • 例: 衝撃を受けると瞬時に硬くなるボディアーマー
  • サーモクロミック材料(温度変化で色が変わる)
    • 例: 温度で色が変化する窓ガラスやテキスタイル
  • エレクトロクロミック材料(電圧で色が変わる)
    • 例: 自動車のサンルーフやディスプレイ技術
  • 形状記憶合金・高分子(温度や電流で形状を記憶・復元)
    • 例: スマートテキスタイルや医療機器

これらの材料は、物理的矛盾を解決しながら適応型システムの基盤となります。

適応型システムのサービス分野への応用

せせらぎ房
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TRIZの適応型材料(システム)の考え方をサービス分野のアイデア発想に応用してみましょう。次のような考え方ができると思います。

受動的システム

簡易サービスと高級サービスの二択のように、基本的なニーズに対し二つの異なる選択肢で対応する形があります。例えば、ファストフード店の「店内飲食」か「持ち帰り」の選択など。

3つ以上の異なる状態への変化(適応型)

ホテルの部屋や飛行機や新幹線の座席などランク(エコノミー・ビジネス・ラグジュアリー)に分かれている例や、カフェのドリンクのカスタマイズのようにメニューを細分化されている例があります。顧客の多様化が進む中で、サービス内容を細分化することが求められています。

顧客の状態に合わせて自由に変化(適応型)

サービスにおいては、完全オーダーメイドのカスタマイズサービスがこれに該当します。たとえば、Netflixのレコメンド機能は、視聴履歴に基づいて個別に最適化されたコンテンツを提供することで、全方位適応システムの例とも言えるでしょう。また、医療サービスにおいても、顧客の状態に合わせた治療法の選択を行うサービスなども検討されています。AIの発展により、顧客の好みに合わせた唯一のサービスメニューの適応を大きなコストをかけることなく、提供できる可能性が高まっています。

せせらぎ房
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固定化されたサービスを顧客に合わせた自由度の高い設計とした時に、新しい価値を生み出せるか。既存のサービスから新しいサービスのアイデアを発想するヒントになるかもしれません。

まとめ

TRIZの技術進化のトレンドに沿って、適応型材料は「受動的な材料」から「全面的適応型材料」へと進化しています。これにより、システムの柔軟性が向上し、エネルギー効率の改善や新しい用途の開拓が可能になります。未来のシステム設計では、自己組織化やスマートマテリアルの活用がより重要になり、適応型材料が技術革新の鍵となるでしょう。

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