
こんにちは、せせらぎ房です。今回は、生成AIを用いてビジネスモデル特許のアイデアを考えてみたいと思います。
この記事のポイント
- 生成AI(ChatGPT)を用いたアイデアの発想方法
- アイデアを具体化する観点
- ビジネスモデル特許として考えるには?
ビジネスモデル特許とは

ビジネスモデル特許は、ビジネスモデルを実現するための新規なIT技術などを活用した発明に対して与えられる特許です。ビジネスモデルそのものに独占権が付与されるわけではありませんが、そのビジネスに不可欠なコンピュータソフトウェアなどに特許を与えることで、間接的にビジネスモデルを保護する効果が期待できます。
ビジネスモデル特許は、通常の特許と同じように、発明であること、新規性・進歩性があること、産業上の利用可能性があること、先願であること、などが求められます。特にITシステムを利用した仕組みであることが大切です。
ビジネスモデル特許のアイデアを考える


アイデアを考える際、全くのゼロから始めるのではなく、既存のアイデアを起点とすることがあります。この起点を特許として捉えてみます。ある特許に基づいて、その応用範囲を検討していく過程で、全く新しいアイデアが生まれるかもしれません。
そこで、アイデアのきっかけを作り出すために生成AIを活用しました。事前にChatGPTにアイデアの広げ方について教えてもらい、特許からアイデアの応用範囲を考察していきます。
以下の特許を起点として、アイデアを創出します。
(57)【要約】【課題】 温室効果ガス排出量の削減を支援するための施策を提示する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 情報処理システムであって、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による内部の知見が示された情報を少なくとも含む排出情報を記憶する記憶部と、ユーザからの自社レポートを作成する旨を示す指示情報を受付可能な受付部と、指示情報と内部の知見が示された情報に基づき、自社レポートを生成する生成部と、自社レポートをユーザが視認可能なように出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による内部の知見が示された情報を少なくとも含む排出情報を記憶する記憶部と、
ユーザからの指示情報を受付可能な受付部と、
前記指示情報と前記内部の知見が示された情報に基づき前記指示情報に基づくレポートを生成する生成部と、前記レポートを出力可能な出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。

選択した発明は、近年公開の中から選択しました。温室効果ガスの削減を目的として、サプライチェーンにおける温室効果ガスの排出をレポートする仕組みです。発明の要約をインプットとして、あらかじめ作成したプロンプトとChatGPTに入力します。以下がChatGPTから出されたアイデアの一覧です
切り口:1 何かを少なめにする
レポート出力時、排出に関する「最小限の重要指標」のみに絞った簡易モードを搭載。中小企業向けに情報量を抑えた導入を容易にする。
切り口:2 何かの動きと一緒にやる
物流の動きに連動し、排出情報をリアルタイムで記録・反映するトラッキング機能を追加。動態と連携して排出可視化を実現。
切り口:3 何かを加える
他社の成功事例データベースを追加し、排出削減施策の提案にリアルな参考情報を反映。AIが最適施策を提案可能に。
切り口:4 何かを裏返しにする
排出量の多い順ではなく「改善余地の大きい順」に並べる視点を採用。行動を起こしやすくするユーザ体験を構築。
切り口:5 順序を逆にする
通常のレポート出力を「将来の理想から逆算した道筋」として提示。理想に至るためのステップを視覚的に表現。
切り口:6 材料を変える
排出情報に用いる単位や指標をCO2以外(例:メタン、窒素酸化物など)にも拡張。多角的な排出評価が可能に。
切り口:7 繰り返し何かが起こるようにする
レポート作成を定期化(例:月1回自動生成)し、定期的に改善策を提案。改善→実行→再評価のサイクルを自動化。
切り口:8 誰かのやることをいつもと変える
従来管理職が行っていた排出レポート作成を、現場スタッフ自身が操作できるようインターフェースを刷新。
切り口:9 手に入りにくいものを作る
「業界全体のベンチマーク比較」機能を搭載。他社では見られない匿名化された平均値で自社の立ち位置が把握可能。
切り口:10 何かの用事と一緒にやる
決算やCSRレポートの作成タイミングと合わせて、排出レポートも自動生成。二重作業を防ぎ業務効率化。
切り口:11 時間をくぎる
レポートを「日別・週別・月別」で切り替えられるUIにし、期間ごとの傾向を直感的に把握しやすくする。
切り口:12 何かを取り替える
従来の表形式出力を、インフォグラフィックスやアニメーションに置き換え、伝わりやすい視覚情報として提供。
切り口:13 みんなで一緒にやる
サプライチェーン全体の企業が共同でレポートを作成・閲覧できる機能を導入。連携による最適化を促進。
切り口:14 すぐできるようなやり方に変える
レポート作成において、ワンクリックでAIが推奨内容を提案する「即時作成モード」を実装。導入のハードルを低減。
切り口:15 一番大事なもの以外はあきらめる
排出量に最も大きな影響を及ぼす1〜2指標だけに特化した「重点フォーカスレポート」形式を提供。
切り口:16 結びつけて一つにする
排出レポートと製品ライフサイクル分析を統合し、製品別の環境負荷が即座にわかる一体型レポートを提供。
切り口:17 何かの色を変える
レポート中の排出状況を色で直感的に識別できる「カラーマップ表示」を導入。視覚的に理解しやすくする。
切り口:18 組み合わせ方を変える
排出レポートを、経費・利益データと組み合わせて「環境効率性」まで評価可能に。費用対効果が見える化。
切り口:19 少し形を変える
PDFなどの固定レイアウトに加え、Webベースのインタラクティブ形式でも出力できるよう柔軟なフォーマット対応。
切り口:20 他の使い道を考える
生成されたレポートは社内研修や顧客へのPR資料としても活用可能。対外的な信頼性向上にもつながる。
アイデアの検討


創出されたいアイデアの中には、すでに存在している機能も含まれますが、これらをヒントにしてアイデアをさらに拡張できそうです。
以下のアイデアを取り上げて、考察してみましょう。
切り口:17 何かの色を変える
レポート中の排出状況を色で直感的に識別できる「カラーマップ表示」を導入。視覚的に理解しやすくする。。
サービス名
EcoPalette(エコパレット)
【背景】
温室効果ガス削減の取り組みが世界的に加速する中、多くの企業が排出量データを取得・報告する義務を負うようになった。しかし、多くのレポートは数字とグラフに終始し、現場の担当者や経営層が「どこが問題か」「どこを改善すればよいか」を直感的に把握するのは難しかった。
視覚的に排出状況を一目で把握できる手法が求められていた。
【サービス概要】
EcoPaletteは、企業の排出情報をリアルタイムで解析し、カラーマップ(色によるリスク・改善余地の可視化)として提供するクラウドサービス。
サプライチェーンや部署別、製品別など、様々な単位で「赤」「黄色」「緑」など色分けされ、直感的に現状把握と対策優先順位づけができる。
【主要機能】
□リアルタイムカラーマップ生成:登録された排出データをもとに、リスク度合いを色分け表示。
□ドリルダウン機能:色の濃い(排出量の多い)部門や工程をクリックすると詳細データが開示され、具体的対策案まで提示。
□シナリオシミュレーション:施策を仮想的に適用した場合のカラーマップ変化を予測シミュレーションできる。
□共有とレポート機能:カラーマップを簡単に社内共有・レポート出力可能(PDF/PowerPoint連携対応)
【ターゲット】
大企業:サステナビリティ部門、環境管理部門
中堅企業:CO2排出量管理が求められるが専任担当を置けない企業
サプライチェーンマネジメントを強化したい企業グループ
【提供価値】
データリテラシー不要で誰でも理解できる。
問題点の特定から対策立案までを一気通貫で支援。
経営層への説明資料作成工数を90%削減。
カーボンニュートラル活動の推進力を加速。
【将来的な拡張】
AIによる自動施策提案
世界各国の排出基準に対応したカラー標準設定
他社事例との比較マップ作成機能

発明の機能を元に、サービスの概要を作成しました。サービス概要を元にして発明のストーリーを作成してみましょう。
【発明のストーリー】
近年、企業活動に伴う温室効果ガス排出量の可視化と管理は、国際的な環境規制や投資家からの要請を背景に、急速に重要性を増している。しかし、従来の排出レポートは、数値やグラフ中心で構成されるため、非専門家にとっては直感的な理解が難しく、効果的な改善行動へ結びつかないという課題が存在していた。
本発明は、この課題を解決するために創出されたものである。
サプライチェーン全体または個別部門の排出データを収集し、それらの排出状況を「色」によって直感的に可視化するカラーマップ表示技術を提供する。これにより、ユーザーは色の濃淡や変化を通じて、排出量の多寡、リスクの高低、改善余地の大小を瞬時に把握できるようになる。
本発明の情報処理システムは、排出情報を記憶する記憶部、ユーザー指示を受け付ける受付部、指示と記憶情報に基づきカラーマップレポートを生成する生成部、及びこれを出力する出力部を備える。さらに、ユーザーは表示されたカラーマップから、問題箇所をクリックすることでドリルダウンし、より詳細なデータや施策提案を取得できる。
これにより、専門知識がない経営層や現場担当者でも、自社の環境負荷状況を直感的かつ迅速に理解でき、即座に適切な改善行動を取ることが可能となる。また、レポート作成作業の工数削減、サプライチェーン全体での排出管理強化、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みの推進にも大きく寄与する。
本発明は、排出情報の管理を単なる「義務」から、「全社で取り組むべき経営課題」へと昇華させる新たな仕組みを提供するものであり、持続可能な社会の実現に向けた重要な技術基盤となる。

どうでしょうか。ビジネスモデル特許の発明っぽくなったと思います。この発明の説明に加えて以下のような点を特許のポイントとできるかもしれません。
- カラーマップを作成するためのデータ処理方法を加える
- ドリルダウン二より何を優先的に見せるのか、利用者や時期、企業の情報などを考慮する。
- 色の変化を時系列で表示する
上記のようなポイントを加えるとより発明のストーリーらしくなるかもしれません。
まとめ
既存の発明をインプットとして、生成AIを使いながら、新しい発明を考えてみました。発明を考えることでビジネスやアプリのヒントを得られるかもしれません。生成AIを用いた発明創出について、試してみてはいかがでしょうか。