データ分析力を向上させる。9つの視点と活用法

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せせらぎ房
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こんにちは、せせらぎ房です。何かしらのデータを分析する機会はありますが、どのような観点で分析をすればいいのか、迷うことはありませんか。今回は専門家が分析をするというよりも、ちょっとしたデータを分析し、何かしらの結論を導く際に便利な9つの観点を説明してみたいと思います。

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この記事のポイント

  • データ分析には「大きさ」「時系列」「分割」「ばらつき」「比較」の5つの基本視点が重要
  • 全体像を把握するには「プロセス」「ツリー構造」「不確実性」「人・組織」の4つの視点
  • これらの視点を活用することで、複雑な情報を効果的に理解し、適切な意思決定が可能に
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簡単なデータを分析する時にも重要な視点を説明したいと思います。ぜひ、プレゼンや資料作りでのデータ分析に活用してください。

データの本質を見抜く!基本的な5つの分析視点

データを読み解く上で基本となる5つの視点を見ていきましょう。

スケール感を持つ:「大きい・小さい」の意味を捉える

データ分析の第一歩は、数値の「大きさ」を正しく理解することです。「月間売上1,000万円」と聞いても、それ自体が良いのか悪いのかは判断できません。重要なのは、比較対象を持つことです。

視点: その数字は、目標と比べてどうか?過去の実績(前月比、前年同月比)と比べてどうか?競合他社や業界平均と比べてどうか?

  • 自社の月間売上が1,000万円でも、目標が1,500万円なら「少ない」。
  • 前年同月が800万円なら「増加している」。
  • 業界トップ企業の月間売上が5,000万円なら「まだ成長の余地がある」

時間軸で追う:変化のパターンと傾向を見つける

データは静的なものではなく、時間と共に変化します。時系列でデータを追うことで、隠れたトレンドや季節性、異常値を発見できます。

視点: データは増加傾向か、減少傾向か?特定の周期(曜日、季節など)で変動するか?一時的な急増や急減はないか?その原因は何か?

  • あるWebサイトのアクセス数が右肩上がりで増加している → 施策が効果を発揮している可能性。
  • アイスクリームの売上が夏に急増し、冬に減少する → 明確な季節性がある。
  • 特定の日だけシステムのアクセスエラーが多発している → その日のイベントやバッチ処理が影響している可能性

分解して探る:構成要素から本質に迫る

全体の数字だけを見ていると、重要な詳細を見落としがちです。「売上」という一つの指標も、様々な要素に分解することで、より具体的な課題や強みが見えてきます。

視点: 全体を構成する要素は何か?(例:売上 = 商品別、地域別、顧客層別)それぞれの要素の割合や貢献度は?どの部分が全体の数値を押し上げ/下げているか?

  • 会社全体の売上は横ばいでも、商品Aの売上は急増し、商品Bの売上が急減しているかもしれない。→ 商品Bのテコ入れや、商品Aのさらなる販促が必要。
  • 顧客全体の平均購入単価は変わらなくても、若年層の単価は上昇し、高齢層の単価は低下しているかもしれない。→ 世代別のマーケティング戦略見直しが必要

分布を見る:「平均値」の罠に気づく

平均値はデータの中心を示す便利な指標ですが、それだけではデータの「ばらつき」が見えません。一部の極端な値によって、平均値が実態とかけ離れてしまうこともあります。

視点: データはどのように分布しているか?(正規分布、二極化など)平均値だけでなく、中央値や最頻値はどうか?標準偏差は大きいか、小さいか?外れ値は存在するか?

  • 従業員の平均残業時間が20時間でも、実際には「定時退社の人が多数」と「月80時間残業の人が少数」という二極化状態かもしれない。→ 平均値だけを見て「問題ない」と判断するのは危険。
  • 顧客満足度アンケートの平均点が3.5でも、「5(満足)」と「1(不満)」の回答が多く、中間層が少ない場合、サービス改善の方向性を明確にする必要がある

比べて理解する:基準を持つことの重要性

「比較」は、データに意味を与える最も基本的な方法の一つです。適切な比較対象を設定することで、数値の相対的な価値や、施策の効果を明確に評価できます。

視点: 何と何を比較するか?(自社と他社、過去と現在、施策実施群と非実施群、成功事例と失敗事例など)比較によって何が言えるか?

  • 新広告キャンペーンを実施したグループと実施しなかったグループの購買率を比較する(A/Bテスト)。→ キャンペーンの効果を定量的に測定できる。
  • 売上好調な店舗と不振店舗の顧客層、品揃え、接客方法などを比較する。→ 成功要因・失敗要因を特定し、改善策に繋げる

より深く広く!全体像を捉える4つの思考法

基本的な分析視点に加え、物事をより大きな枠組みで捉えるための思考法も重要です。これにより、問題の根本原因を探り、より本質的な解決策を見出すことができます

流れで捉える(プロセス思考):ボトルネックを発見する

ビジネス上の成果は、多くの場合、一連のプロセス(流れ)の結果として生まれます。プロセス全体を俯瞰し、各段階を分析することで、問題の真の原因や改善すべき箇所(ボトルネック)が見えてきます。

視点: 目的達成までのプロセスはどのような段階に分かれるか?各段階での数値(例:通過率、所要時間、コスト)はどうか?どこで滞留や離脱が発生しているか?

  • ECサイトの購入率が低い場合、「サイト訪問→商品閲覧→カート追加→購入情報入力→購入完了」というプロセスを分析。カート追加後の離脱率が高いなら、入力フォームや決済方法に問題がある可能性。
  • 製品開発のリードタイムが長い場合、「企画→設計→試作→テスト→生産」の各工程にかかる時間と手戻りを分析し、最も時間がかかっている工程や手戻りの多い工程を特定する。

構造化して整理する(ツリー構造化):複雑な問題を分解する

複雑な問題や目標も、階層的に分解(ツリー構造化)していくことで、論理的に整理し、具体的な打ち手を見つけやすくなります。

具体例:

  • 「Webサイト経由の売上を増やす」という目標を以下の視点で分解する
    • 売上 = 訪問者数 × コンバージョン率 × 顧客単価
    • 訪問者数 = 新規訪問者 + 再訪問者
    • コンバージョン率 = 購入者数 / 訪問者数

シナリオで考える(不確実性への対応):リスクと可能性に備える

未来は常に不確実です。データ分析においても、予測や計画には必ず誤差や変動要因が含まれることを前提に置く必要があります。複数のシナリオを想定することで、リスクに備え、柔軟な意思決定が可能になります。

視点: 将来に影響を与えうる不確定要素は何か?(市場動向、競合の動き、技術革新、規制変更など)それらの要素が変化した場合、どのような影響が考えられるか?楽観的、中立的、悲観的なシナリオを想定した場合、どのような対策が必要か?

  • 新製品の販売計画を立てる際、需要予測に基づいて「目標達成シナリオ」「標準シナリオ」「未達シナリオ」の3パターンを用意し、それぞれの場合の生産調整やマーケティング予算の配分計画を準備しておく。
  • 投資判断を行う際、金利変動や為替変動のリスクを考慮したシミュレーションを行い、リターンだけでなくリスク許容度も評価する

背景を読む(人・組織の視点):数字を生む「構造」を理解する

データは、人々の行動や組織の活動の結果として生まれます。数値の変化だけを追うのではなく、その背後にある人間的・組織的な要因に目を向けることで、より根本的な課題解決に繋がります。

視点: そのデータはどのような組織構造や業務プロセスから生まれているか?データの変動に関わる人のモチベーションやスキル、部門間の連携に問題はないか?組織文化や評価制度がデータに影響を与えていないか?

  • 営業部門の成績データが悪化した場合、単に個人の能力だけでなく、営業ツールの使いにくさ、不十分な研修、部門間の情報共有不足、非現実的な目標設定などが影響している可能性を考慮する。
  • 顧客アンケートの結果が悪くても、それは単に製品の問題だけでなく、サポート担当者の対応やウェブサイトの分かりにくさなど、複数の要因が絡んでいるかもしれない。現場へのヒアリングなどが有効

まとめ

データ分析は、数字の計算やグラフを作成することのみではありません。「どの角度から、どのように見るか」という視点が、データから価値のある洞察を見出すことできます。

「基本的な5つの分析視点」「全体像を捉える4つの思考法」は、いわばデータ分析における”メガネ”のようなものです。これらの視点を意識的に使い分けることで、複雑に見える情報の中から、本質を見抜き、よりわかりやすく、意思決定に活用できるデータ分析を実現します。

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